掛け金はおろしっぱなし

家族八景 (新潮文庫)

家族八景 (新潮文庫)

この前トラウマ本を読むと宣言したのだけれど(id:cloudy3:20080612)、読んだのは「家族八景」。人の心を読むことができる七瀬という主人公は、お手伝いとして他人の家庭で働いているのだけれど、そこに暮らす家族の心模様はうわべとは全く違っていて。
知世効果で「時をかける少女」を読んだ後に、小学生の時に読んだはずなんだけど、よく読めたなあと我がことながら感心してしまう。多分小説の意味はよくわからないけれど、なんだか不穏な空気だけはしっかりと嗅ぎ取ってしまったんだろうと思う。子供の頃から筒井康隆という名前をきちんと覚えていた。たまにテレビに出てあほうごと*1を言ってくだけのおっちゃんじゃないんだよなあ。私が生まれる前に出版された小説だというのに、今読んでも全く色あせることなく、さらに説得力を増し、心に暴発してくるようにも思えて、一瞬たりとも目が離せなくなり、あっという間に読んだ。あまりにも夢中になったので、今読みかけている本など全て後回しにして続編の「七瀬ふたたび」*2を読みはじめている。

七瀬ふたたび (新潮文庫)

七瀬ふたたび (新潮文庫)

*1:方言?

*2:秋にまたドラマ化されるって本当ですか?