サーフィンUSB

ヨーロッパ企画の「サーフィンUSB」を大阪のサンケイホールブリーゼにて観てきました。
アホみたいな感想で申し訳ないのですが、本当におもしろかった!ここ数作はモヤモヤした気持ちが残ることも多かったんだけど、今回はこれぞヨーロッパ企画、というようなグダグダな(もちろん褒め言葉です)おもしろさでした。舞台を上下に使うシーンが多いせいか、実際に目の前で演じているライブ感もいつも以上に感じられました。
大阪までの行き帰り、森見登美彦の「有頂天家族」の文庫版を読んでいたんだけど、その解説を担当していたのはヨーロッパ企画の上田さん。上田さんは森見先生の「四畳半神話大系」のアニメで脚本を担当していて、その作業で感じられたことは、実はヨーロッパ企画の芝居にも通じるのではないのかと思いました。
いわく、

四畳半は他の森見作品同様、おおよそストーリーの展開には与しない、無邪気な描写に費やされていたり、本筋とそれほど関係のない物事について、やけに執拗に語られていたり、不毛な饒舌ぶりもそこかしこに出てくる。物語の「核」を見出すべく、そうした箇所を順番に落としていくと、物語はなんだかみるみるやせ細り、原作の豊穣さとはまるで別のことになってゆく。その一方で、割愛した瑣末なエピソードたちがなんだか妙なきらめきを湛えている

(大約です。詳しくは「有頂天家族」の文庫版420ページ)
「サーフィンUSB」だって、街の大半が水没した街が舞台なんだから、優等生ぶって環境問題を喚起させるような紋切り型の物語展開だってできる。でもあのハンバーガーの食べ方のくだりをそぎ落としてしまったら?人魚をもっと違う風に使っていたら?そうなったら、ヨーロッパ企画が演じる必然性などどこにもなくなってしまうし、この上なくつまらないと思う。

上田さんが悩みに悩んで作り上げた四畳半神話大系がとても魅力的で観るたびに引き込まれていく作品であったように、「サーフィンUSB」もとても魅力的でした。

そういえば彼らの舞台で私が一番好きなのは「Windows5000」。「サーフィンUSB」はもしかして「Windows5000」と同じ時代かもしれないと観劇中にふと思った。アキハバレーのそばにはあの不可思議な建物があってほしいな。

有頂天家族 (幻冬舎文庫)

有頂天家族 (幻冬舎文庫)