ヒアアフター

ヒア アフター ブルーレイ&DVDセット(2枚組)【初回限定生産】 [Blu-ray]

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「ご愁傷様」という言葉がうまく言えない。大切な人を亡くした人に対して自ら発する言葉としてうまく認識できていない。
今日から公開されたイーストウッド監督の「ヒアアフター」を見ながら、そんなことを思い出していた。
死人と交信できるアメリカ人男性、大津波に飲み込まれて臨死体験したフランス人女性、心の支えだった双子の兄を交通事故で失った少年、その3つの物語が丁寧に描かれている。特に少年のパートでは、丁寧に描かれたその物語のおかげで、少年が出てくるだけで涙が出てくるほど感情移入してしまった。
少し不安だったけれど、宗教色はなかったと思う。死と向き合うにあたって、誠実に3つの立場が描かれていた。少年の兄の葬式が、入り口に次の葬式を待つ人たちがたくさん待っていて(しかも異教徒だったような)、ラスベガスの簡易結婚式みたいに描かれていたのは皮肉だったのかしら。

また本筋とは少しずれるけれど、フランス人女性が「結局○○したのがいけなかったのよね」(本日公開だけに伏せ字にしておきます)と言ったのに、男性がきょとんとしていたシーンがとても印象に残っている。たったあれだけのやりとりだけで、この2人は永遠にわかりあえることはないのだということが強く伝わってくる。

映画を覆う緊張感の中から伝わる優しさがとても心地よい時間だった。映画館で見てよかったなとも思った。