桜の樹の下には

団地住まいだったため、犬やら猫を飼うことができなかった我が家はずっと金魚を飼っていたけれど、母が多忙だったこともあって、最後の金魚が死んでからはしばらく飼っていなかった。だけど数年ぶりに金魚を2匹飼って9年ほど。我が家の手荒な水換えにも慣れてずっと元気だった金魚のきんさんが昨日死んだ。
その前日に母と「色が薄くなって、もう年かなあ」とたまたま話していた翌日に、死んだ。
昨日の朝は変わりなかったのに、私が出かけている間にぷかぷか浮いてきて、しばらくは動いていたけれど、そのままだったそうだ。
きんさんは一緒に買ってきた金魚が死んだ後しばらく一匹で寂しそうだったので、その頃ふらふらしていた私はよく遊んだ。えさをやるタイミングを覚えたり、水槽をコツコツすると寄ってきたり、本当にかわいくて、箱入り金魚だった。もう一匹のよんさんと同じ水槽をシェアするようになってもおっとりした性格はそのままで、でも二匹が仲良しで賢いので、我が家では歴代の金魚で一番愛された金魚だった。
犬でも猫でも人でもない金魚のきんさんの死に、自分でも驚くくらい落ち込んでいる。
やっぱり年をとって環境が変わったのがストレスになったのかな。あれほど元気よく水槽の中を泳ぎまわっていたよんさんがあまり動かなくなってきてるのも悲しい。
子供の頃飼っていた金魚が死ぬと「学校から帰ったらお墓作るから!」と言っても、いつも母は学校から帰った私に「死んだ金魚はゴミに出した」と冷たく言い放ち、情操教育も何もなかった。けど、きんさんは私が帰る前に、庭の桜の木の下に母が埋めてあげていた。来年にはきれいな桜が咲くといいなあ。

左に写っているのがきんさん。